職権による自然人の住所等変更登記(令和3年不動産登記法改正)
不動産法不動産管理民法法律登記手続相続空き家令和3年不動産登記法改正により、他の公的機関からの情報に基づき、登記官が職権で変更登記を行うことができるようになります(改正不動産登記法76条の6)。
この規定の施行は、令和8年4月までに行われます。
これは、住所等の変更登記の申請義務の実効性を確保するための環境整備策として、手続の簡素化・合理化を図ることを目的としています。
したがって、この職権による変更登記を行うことで、住所等の変更登記の申請義務は履行されたことになります。
自然人の場合には、住民基本台帳制度の住基ネットと連携することにより情報の取得が行われます。
住基ネットからの情報取得のために、生年月日といった検索用情報の提供が必要となります。
また、本人の了解がある場合にのみ変更登記がなされます。
流れとしては、以下のようになります。
① 所有権の登記名義人である自然人が、あらかじめ、検索用情報を提供する。
自然人が職権によって住所変更登記を行ってもらう場合には、事前に氏名、住所、生年月日および性別の検索用情報を提供する必要があります。
したがって、本規定施行後に新たに所有権の登記名義人となる場合、その登記の申請時に検索用情報を提供する必要があるとされています。
また、本規定施行時にすでに所有権の登記名義人である場合は、登記申請時以外でも、任意で検索用情報の提供を可能とすることを予定しているようです。
この検索用情報の提供は、インターネット等を活用した簡易な方法によることを含めて検討することも予定されています。
② 検索用情報等をキーとして、法務局側で定期的に住基ネットに照会する。
法務局は、提供された検索用情報をシステム内部に入力することにより、定期的に住基ネットを照会します。
所有者が住所等の変更を届出すれば、住基ネット上の住民票情報が変更されるので、その変更情報を照会によって把握します。
③ 住所等の変更情報があれば、本人の了解を得て、登記官が職権的に変更登記をする。
住所等の変更情報があれば、法務局側から所有者に対して、住所等の変更登記をすることについて意思確認を行い、その本人の了解を得て、登記官が職権的に変更登記をします。
この際、氏名・住所以外は登記に公示されません。
プライバシー保護の観点や、最新の住所を公示することによって支障が生じる者が存在する(DV被害者等)という観点から、意思確認を必要としました。
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