最判平成11年7月13日―接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権
不動産法地主建築基準法民法法律裁判手続接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権について、最判平成11年7月13日の判決があります。
この判決では、建築基準法施行前から存在した、建基法上では接道要件を満たしていなかった建物が取り壊された場合に、同土地の所有者(上告人)の上記囲繞地通行権が認められませんでした。
原審では、接道要件を満たさず、建築物を建築できないため、所有地が袋地状態であるとしました。
そのうえで、収去費用の負担をその土地の所有者(上告人)が申し出ていたことや通路提供の償金が請求可能なこと等を考慮して、囲繞地通行権を認めました。
しかし、最高裁は、囲繞地通行権を認めませんでした。
囲繞地通行権を規定している民法210条は、相隣接する土地利用の調整を目的として、(被上告人といった)囲繞地の所有者に対して一定の範囲の受忍義務を課すことで、袋地の効用を全うさせようとするものです。
これに対して、建基法43条1項本文は、主として避難又は通行の安全を期して、公法上の規制を課しているものです。
したがって、両規定は、その趣旨や目的等を異にしているため、接道要件を満たさないというだけで、接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権は当然には認められないとしたのです。これは、最判昭和37年3月15日を引用した判決となっています。
もっとも、本件では、被上告人が、その所有する建物を平成2年に取り壊した際、建基法上の接道要件が、上告人に対して適用されることになったとしました。
すなわち、取り壊しにより、囲繞地が適法に上告人の建物の敷地の一部となり、本件係争地を被上告人の敷地の一部として使用させることは、特定の土地を一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物についてのみ、その敷地とし得るものとする建基法の原則(同法施行令1条1号参照)と抵触する状態になり、通行者の建築物の規模等に関する基準に適合しないものとなるおそれもあるとしたのです。
共有に関して、なにかお困りのことがございましたら、弊所、都総合法律事務所までご相談ください。
不動産関連でなにかお困りのことがございましたら、弊所、都総合法律事務所までご相談ください。
「地主の、地主による、地主のための法律サービス」を展開しております。
夜間・休日相談、オンライン相談も承ります。
年中無休・24時間予約受付
都総合法律事務所 弁護士 高谷滋樹
共有解消ドットコム
https://kyouyukaisyou.com
都総合法律事務所
http://miyakosougou.kyoto.jp
LINE@にて、お友達登録よろしくお願いいたします。
https://page.line.me/492iyygt?openQrModal=true
YouTube チャンネル にて、放映中です。
https://www.youtube.com/channel/UCd_T5ov-pYPnuviH2mKwVag
その他のコラム
自分の土地が勝手に売られてしまう?「競売」とは?
不動産法民法法律裁判手続「競売」という言葉をご存知でしょうか。おそらく多くの方が、「家が売られてしまう手続き」とお答えになると思いますが、その通りです。払わなければならないお金を払わない場合、マイホームが強制的に売られてしまう。これが「競売」です。 競売でマイホームを失った方のなかにも、「まさか自分の家が競売にかけられるとは思わなかった」と言う人が少なくありません。 では、どのような場合に競売にかけられてしま
令和3年民法改正(相隣関係)
不動産法不動産管理裁判手続令和3年の民法改正により、隣地の円滑・適正な使用という観点から、相隣関係に関する規定の見直しが行われました。 そこでは大きく、 ①隣地使用権の規定の見直し、 ②ライフラインの設備の設置・使用権の規定の整備、 ③越境した竹木の切り取りの規定の見直し、 の3点が改正されます。 これらの規定は、令和5年4月1日に施行されます。
住所等変更登記の申請義務化(令和3年不動産登記法改正)
不動産法民法相続空き家令和3年不動産登記法改正により、自然人・法人ともに、住所等の変更登記の申請が義務化されます。 これは、令和8年4月までに施行されることとなっています。 所有者不明土地が発生する原因は、不動産の相続登記がなされないことに次いで、住所等変更登記がなされないことが主な原因とされています。 その原因は、①住所等の変更登記の申請は任意であり、申請しないことによる所有者への不利益が少なかった